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2009年12月23日(水)更新

衛星パーツ納品を終えて・・・

皆さん、こんにちは!

今年6月から半年かけて進めてきました
深宇宙探査機、分かりやすく言えば、人工衛星「UNITEC-1」の
当社担当の部品製造が、先週末に終わり、JAXA様の検査も通って
これでとりあえず、金星まで飛んでいくための第一関門を突破したことになります。

この間、皆さんやマスコミの方からいただいた2つの質問に
お答えしようと思います。

① 「人工衛星のパーツを作った神業を持った職人さんはどなたですか?」

このご質問は、数人のマスコミの方からいただきました。
私の答えは、「当社には、残念ながら、神業を持った職人さんはいません。」
「当社の強みは、全社員の能力を集結した総合力です!」

というわけで、オンリーワンの技術はありませんが
当たり前のことを当たり前にこなし
ものづくり日本の技術者として、当たり前の常識を
共通認識として持っていることが最も大切なことです。

どのパーツのどこが一番大切な部分なのか?
どことどこの直角が保たれていなくてはいけないか?
図面上寸法公差は記載されていなくても、重要な部分は精度良く仕上げることなど
全てを語らずして、良いものが作れることが日本のものづくりの良さだと思います。

② 「なぜ、蒲郡製作所さんは、人工衛星作りに参加できたの?
                    どんな技能や技術があればいいの?」


今回当社が人工衛星を作ることになったのは
愛知工科大学の奥山先生と私が出会ったからです。
このご縁から、衛星作りが始まりました。
「手伝ってもらえませんか?」「やりましょう!」
そんな体育会系のノリで始まったのです。

人工衛星の市場は、今後大きくなるとはいえ
自動車産業のように多くの人が食べていける産業ではありません。
その上、厳しい経済状態の中で、国の予算が削られる中
難易度が高い割には、儲かる仕事ではないと思います。
損得で考えたら、参入しない方が良い分野だと思います。

それでもなお当社が衛星作りを始め、今後も続けていこうとしているのは
衛星作りでは、アポロ計画の時代からずっと
時代の先端技術を駆使したモノづくりが行われており
常にその時のトップレベルの情報を入手できることが最大のメリットです。

この世にないものを考え、生み出していくのですから
常にチャレンジの連続で、わくわくする仕事ができれば幸せですね。
その上、高い志を持った方々が集まり、自然にご縁ができます。

衛星開発では、衛星開発でしか知りえない情報や技術があり
それは開発に係わった人だけが知りうる特権だと思います。
といっても、当社が現時点でそうだと言っているのではありません。
私たちは始めの一歩を踏み出したにすぎません。
スタート地点にも達していない状態です。

衛星パーツ完成の記者会見の際
「なぜ奥山先生が、衛星の重要なパーツである本体とガイドポールを
                      設計製造することになったのですか?」
という質問もありました。

先生のお答えは・・・
「私より優秀な技術者はたくさんいますが
       私は誰よりも衛星作りに対し情熱を持っています!」
そんなお話をされました。
明確な違いを述べることより、先生のこのご発言には、とても熱いものを感じました。


eisei0912
<仮組み立てされた深宇宙探査衛星UNITEC-1> 
 黒く四角い部分は、先日初フライトに成功しましたB-787に多用されています
 CFRP(炭素繊維強化プラスティック)で出来ています。一辺が350mmです。